映画や日々みているもの
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- - -
sut
20120114105503.jpg
2008年
ミルク
監督:セミフ・カプランオール


セミフ・カプランオール3部作の二作目。『ミルク』の脚本を書いている時に、その未来と過去に思いを馳せて3部作に発展したそう。

『ミルク』はユスフの青年時代。
高校を卒業して詩人を目指しているユスフ。母親と二人生活し、ミルクを売って歩くが、詩で得た原稿料もミルクの売り上げも生活の足しにはならない。
ある日母親が自分の知らないところで知り合った男性と付き合っていることを知る。



少年でもない微妙な年代。何かに押しつぶされそうな時期を言葉ではなくうまく表現している。

てんかんを起こすシーンは本人が実際演じているようで迫力があった。

豊かな映像が登場人物の感情をゆっくりと想像できる作品となっていた。


『蜂蜜』へつづく


『sut/ミルク』
http://www.youtube.com/watch?v=gdg3hPjsF2Y&sns=em
movie comments(0) -
Yumurta
131217681606013103913.jpg.jpg
2007年

監督:セミフ・カプランオール


セミフ・カプラウンオール監督のユスフ3部作で『卵』『ミルク』『蜂蜜』の順で『卵』は序章となっている。
流れは壮年期、青年、少年と逆になっているがユスフが同一人物かはまだわからない。


今作『卵』ではユスフは詩人。古本屋を営んでいて、母親の急死を知らせる電話がかかってくるところから始まる。


3部作の1作目なのでまだわからない部分はあるものの、どうやら3部作全て観終わった後、もう一度『卵』から観たら面白そうだ。


『卵』では、失った事で初めてわかる事が沢山あり、例え大切な人を亡くしたとしてもその人をめぐる記憶が消えるわけでなく、想いは色々なカタチになって継がれていくという事を感じさせてくれた。


音楽は特に使われていないとても静かな作品なのだが、自然や生活する音が心地よく、自然光をうまく使った映像が美しい。
闇も本当の闇であり吸い込まれるよう。


トルコの山羊の儀式はよくわからなかったが、独特な儀式みたいなものなのかな?

家や道具など、映るもの全て古いけれど手入れが行き届き大切に使っている雰囲気がありとても良い。


アイラ役のサーデット・アクソイは『ソフィアの夜明け』にも出演していた美女。
こちらの作品でも『ソフィア〜』同様に、主人公が自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくれる役となっている。
とても存在感が強い女優さんだ。


『ミルク』『蜂蜜』へ続く
movie comments(0) -
Os famosos e os duendes da morte
20120106085143.jpg
2009年
名前の無い少年、脚の無い少女
監督:エズミール・フィーリョ


南ブラジルの小さな町に母親と暮らす16歳の少年。学校にも家庭にも居場所を見つけられない少年は、現実から逃避するようにミスター・タンブリンマンというハンドルネームで日夜ネット上に自作の詩を投稿している。
そしてある少女がアップした写真や動画を見つける。彼女は自殺してしまったのだが、ネット上ではあたかもまだ生きているかのよう。
ある日少年は、彼女と自殺を図ったものの生き延びてしまった男に出会う。



舞台はブラジルの田舎町。
今まで観てきたようなブラジルの作品とはまるで違った雰囲気で、閉鎖的で寒々しく、霧に覆われた北欧の町のよう。
少年やその友達、母親も同様、何かこの町から出られない、そんな不穏な雰囲気が町全体に残る。


荒い粒子で映し出される映像やピントが惚けた写真のような映像達は不思議なトーンで進んでいく。
現実、夢、記憶の境界線がはっきりしない。
明瞭な筋立てはなく、心象風景を映し出した映像に、観る側の想いを投影させなければ観れないと思う。
正直眠くなるような退屈な展開ではあるけれど、独特なつくりのおもしろさがあったからこそ観れた作品だった。


思春期特有の淡くて痛みを伴うような憧れは時代や国が違っていても普遍的ということなのか。
特にこの作品の舞台である田舎町はドイツ移民が多く、ドイツ文化に従いながらもブラジルの若者でいたい…何も起こらない町でネットが唯一の逃げ道というか。
主人公の詩やボブ・ディランを見に町を出るというところがいい例である。
年齢を重ねると些細な事だが、あらゆる事に幻惑されるこの年齢は本当に貴重な時間だ。




"脚の無い少女"ことJ.JinglnJangleは実在。
彼女の写真や映像が実際に見る事が出来るという事など、現実と映画の境界が曖昧になる事もこの作品の特徴と言える。

Flicker

http://www.flicker.com/photos/uncolortv/



ちなみにジュリアン役は原作者のイズマエル・カネッペレ。
音楽を担当したネロ・ヨハンはカネッペレの友人でもあるり、2人ともこの舞台で生まれ育っている。
movie comments(0) -
New year's eve

2011年
ニューイヤーズイブ
監督:ゲイリー・マーシャル


大晦日のNYを舞台に絆を取り戻そうとする人々の物語。
監督は「プリティーウーマン」「バレンタインデー」のゲイリー・マーシャル。ロバート・デ・ニーロやヒラリー・スワンクなどアカデミー賞受賞スターから海外ドラマでも活躍している豪華キャストが顔を揃えた作品。


まさに大晦日の今日観なきゃいつ観る?これを逃したら一生観ないかもしれない作品だと思った。

ラブコメや単純なストーリーは嫌いじゃない。最近暗めな作品ばかりだったので年の締めくくりくらい明るく締めたいと思い選択。


キャストがとにかく豪華。
そしてゴチャゴチャ…場面は飛び飛び…

つい感動してしまうシーンや言葉はあったものの、映画としては…
それぞれの相手役がしっくりこなかったりも。豪華キャストなのに…うん、勿体無い。



けど自分も単純だなと思うのはアメリカ人の単純さやキラキラしたNYの街並みにはなぜかワクワク心惹かれてしまう。
一度はあんな環境で新年を迎えてみたい。



キャストが豪華な割に「バレンタインデー」よりも評価が悪いらしいけど…たまにはこんなのもありかな。

人生は失敗もあり、悲しいことも、後悔することもある。でも思い残した事は今年中に…

という内容でまさに締めくくり映画だったけれど、ちょっと考えるとアメリカ人の軽薄さを凝縮した感じもする…何も考えず楽に観ると良いかも。

ザック・エフロンの常にお気楽でテンション高いキャラクター、案外嫌いじゃない。
movie comments(0) -
Rabbit hole
rbhr11.jpg
2011年
ラビットホール
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル


NY郊外に暮らすベッカとハウイー夫婦は、8ヵ月前に4歳の息子を交通事故で失って以来、ぎくしゃくした関係が続いていた。
息子の死から目を背けようとするベッカと、彼女とは反対に思い出に浸るハウイー。そんな中ベッカは息子の命を奪ってしまった少年と遭遇し、交流を始めていく。



この作品の様な流れになるのはごくまれだと思う。結婚もしてない、こどもを生んだことのない自分には到底わからない感情だからわからないけれど。

夫婦という関係になっても悲しみ方や折り合い方は違い。表現方法もあらゆるタイミングもまた違う。
今までうまくいっていたはずのことが一瞬で嘘みたいにうまくいかなくなったりして。

抜け出しようのない絶望感、閉鎖感はだれでも経験したことがあるんじゃないか。


そういった意味でベッカの母親が言った、

大きく重い石も時がたてばポケットの小石になる。忘れる事もあるけど、ふとポケットに手を入れるとそこに小石はある。

そんな台詞が忘れられない。


救われたい想い、次に進みたい気持ちはみんなある。
その方向が一緒ではないからこその葛藤。
簡単にはいかない。時間はかかっても、うまくいく保証がなくても、結局進む他ない。


都合が良いが自分の事や身内の事に当てはめてしまう。心に静かに残る作品。
今年の締めくくりにしようと思ったけれど…
気持ちに余裕がないとちょっとおすすめできないような作品だった。

と、言うことで2011年ラストは「NewYear'sEve」に
movie comments(0) -
When father was away on business
122967824687516300408_B0007G8.jpg.jpg
1985年
パパは、出張中
監督:エミール・クストリッツァ


第二次世界大戦後、6歳のマリクは父と母、祖父、兄とそれなりに幸せな生活を送っていた。しかしある日、父親メーシャが突然逮捕されてしまう。原因は国家批判が政府側に漏れてしまったせいであったが、母親セーナはマリクに『パパは、出張中よ』と言うしかなかった。
1950年代のユーゴスラヴィアを、6歳の少年の目を通して描いた作品。クストリッツァ監督傑作品、『Underground』の10年前に作られた作品である。


初めの車中場面、メーシャが『やりすぎだな』と呟くシーンが伏線となっている。
ソ連とは違う独自の共産主義を目指していたユーゴスラヴィア。そんな時代にまともな感覚で『やりすぎ』だと愛人の前でつい発言してしまった父親メーシャ。
今の日本に生きている人間が当局関係の新聞の論調を批判した所で飛ばされることはまずないのだけれど、当時のユーゴスラヴィアはそうはいかなかったことがわかる。
体制批判者からソ連寄りの人物と勝手にレッテルをはられて強制連行。
それにより家族や親戚までもが巻き添えにあってしまう恐ろしい時代だったが、頭のキレそうな父親は共産主義体制で生き抜く方法を悟っていた。


クストリッツァの作品は直接的ではなく、その時代時代に生まれ生活した人々の選択を、一歩ひいて描いたものが多いような気がする。
ユーゴスラヴィアのその後をただ描くのは簡単だが、酷い時代を生き抜く家族、と単純なつくりではなく、仕方がなかった選択をした"どうしようもなさ"をうまく表現しているのでは。

ラストの方の祖父の『政府なんかくそくらえだ』の捨て台詞が印象的。
そしてマリクの夢遊病はそんなストーリーが進む中、なんとも可愛らしいが痛ましいく、タイトルに対して意外に厳しい現実をつくりあげていた。

今まで観たドタバタなクストリッツァ作品とはまた違うけれど、音楽もやっぱり良く、色々な部分があって人間なんだな、と人間くささを感じさせるクストリッツァ作品はやっぱり好きだなと感じた。

シリアスになりすぎず、程よく温かい作品。
movie comments(0) -
Winter's Bone
winter-s-bone.jpg.jpg
2010年
ウィンターズ・ボーン
監督:デブラ・グラニック


アメリカミズーリ州の寒村、心の病気にかかった母親と幼い弟妹と暮らす17歳の少女リー。一家を支えるはずの父親は家を保釈金の担保にしたまま失踪。家族を守るために父親を探すリーだったが…


低予算であり田舎のごく一部の世界しか描かれていないのにも関わらず、アメリカが抱える影の社会問題についてよく訴えられていた作品だった。

まず観て思い出したのは『FrozenRiver』。
主人公の少女リー含む、叔父ティアドロップの妻や、横暴な夫に逆らって手助けしてくれる親友のゲイル、元締め的存在の妻や孫娘達…みんなが仲良く…なんて雰囲気とは程遠く、狭い世界に住む女達はそれぞれの立場で強く健気に生きている姿が『FrozenRiver』とよく似ていた。

村の掟に縛られた男達に頼らざるを得なく。正義や愛だけではやっていけず、逞しく強かに覚悟を決めて生きるしかない女達がとても印象的。

ハッピーエンドとは言えないけれど、ほんの少しの光が見えるような、そう感じたいと願うこの作品は現実的で心に沁みてくる。
サンダンスは『FrozenRiver』や『プレシャス』といった、格差社会の重い話が多いんだな。



今回の舞台、ミズーリ州のオザーク高原は痩せた山岳地帯で、全米でも最低レベルの貧困地帯。ここで暮らす人々はヒルビリーと呼ばれている。
(ちなみに映画で使われたリーの家は妹を演じた女の子が実際に住む家だそう。)
この地域のバックグラウンドをもっと知った上で掘り下げて観れたなら、また違う感じ方が出来るんだろう。


そういった事もあり、所詮日本人にはわかりにくい世界だなとはじめは思ったけれど、
ある意味生きることに勇気を与えてくれるような、心に残る作品だった。





とにかく個人的にはストーリーより主演のジェニファー・ローレンスやティアドロップ役のジョン・ホークスの演技が印象深い。
ティアドロップの左目尻タトゥーかっこよかったな。

バンジョーの音色やカントリー調音楽も良い。

http://www.youtube.com/watch?v=5O8F8JtSVmI&sns=em
movie comments(0) -
Exit Through the Gift Shop
5312_1312521724_l.jpg.jpg
2011年
イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ
監督:Banksy


バンクシーにとりつかれた1人のフランス人がなんとかして彼のドキュメンタリーを撮ろうとするが、結局カメラはその奮闘ぶりを映すばかりという内容。
バンクシーが映像に捉えられるのはこれが初めてという事で話題にはなったがバンクシー自身は同作について『映像化不可能なものを映像化しようとして失敗した男の物語』と語っている。



色んな解釈が出来る作品だが、その中で、ほとんどが消えて無くなってしまうグラフィティアートを観れたり、映像としてあまり見る事が無かったアーティストを観れた事は良かった。
特に夜中に見張りをつけつつ効率よく作品を作り出すシーンはスリリングで貴重。


後半部分は特に皮肉たっぷりで思わず笑ってしまう。
まぁ、創作したような出来すぎた流れなのでどこまで本当なのかはわからないけれど。

アーティスト達や素材は面白いとは思うけれど、バンクシーと彼の作品が出ているからと言ってそれだけを期待したらいけない作品。

劇中では良いように言ってはいても、バンクシーはティエリーを利用しているようにも見えるし、メディアが表面しか見ていない事も皮肉っている。
その表面だけを利用した素人ティエリーの作品でさえ、バンクシーの名前を利用すれば一気にメディアを沸かせる事が出来て…


運とか善意、本質を見抜けない人の思い込みや色々なものがピッタリ重なると、こうもわけのわからない方向へいくんだ、というような事がわかる。
それが成功なのか失敗なのかはわからないけど。


皮肉たっぷりで、人間くさくて面白いから嫌いではないけど、もう少し制作してる姿観たかったなぁ。
movie comments(0) -
Never let me go
73f2ce28.jpg
2011年
わたしを離さないで
監督:マーク・ロマネク


外界から隔絶された寄宿学校ヘールシャムで育てられたキャシー、ルース、トミー。ある“特別な存在”として過酷な運命を背負っていた彼らは、18歳になり、学校を出て共同生活を始めることに。やがてルースとトミーが恋人同士になり、3人の関係は複雑になるが、彼らはそれぞれの運命をまっとうするため、懸命に生きようとする。

英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞のカズオ・イシグロの同名小説を元にしている。



原作は読んでいないのだが、読んでいなくてもこの作品の切なさは充分伝わってくるよう。


キャストも素晴らしく、特にキャリー・マリガンは古い日本映画の女優さんの様な雰囲気で、表情を抑えつつも感情が深く、つい観入ってしまった。
最近だと『ザタウン』で観かけたけど、比べ物にならないくらい彼女の良さが出ていたと思う。

キーラ・ナイトレイも普段の逞しさや華やかさを抑え、美人ではあるけれどうまく孤立感や空虚感を表現していた。

けれど今作ではキャリー・マリガンの存在が私の中で大きすぎる。

アンドリュー・ガーフィールドも良かったが、2人の女優の元では少し存在が薄かったかな…
最後の穏やかなシーンや叫ぶシーンでは気持ちを持っていかれたが、残念。


男女の友情や愛情、いさかい等の作品は沢山あるがこんな作品は久しぶりに出会った。

淡々と丁寧に綴られ、少しずつわかってくる奇妙な世界は、現代の社会背景ともつい重ね合わせてしまう。

派手な部分は全く無いのに何か後をひくような。
決して大きな変化は無いが、心にじわじわ沁みてくる感覚に身を任せたくなる作品だった。


マーク・ロマネク監督はこの作品を映画化するに当たって、1950年代の成瀬巳喜監督作品を見直したそう。
キャリー・マリガンの雰囲気もそうだし、原作がカズオ・イシグロさんというのもあって、舞台が英国的でありながらも美意識的には日本的なのかもしれないな、と。


マーク・ロマネクは長編こそまだ少ないが、マドンナやジョニー・キャッシュのPV等手掛けている。

JohnnyCash/heart
http://www.youtube.com/watch?v=clq01TXQR0s&sns=em

作品がMoMAに収録されているだけあって、こちらを観るのも面白い。
movie comments(0) -
Essential Killing
E382ADE383AAE383B3E382B0.jpg.jpg
2011年
エッセンシャル・キリング
監督:イエジー・スコリモフスキ


アフガニスタン荒野。我が身を守るため、ムハマンドはバズーカ砲で米兵を吹き飛ばした。逃走したもののアメリカ軍に捕らえられた彼は拷問の末、欧州の拘置所へ送致されることに。
しかし深夜の山道で車が崖に転落。その隙を突いてムハマンドは雪深い森へ逃げ込んで行く。



83分間ろくなセリフもなく極限状態へ追い込まれていくムハマンド。

目的は無い。
あるのは逃げ切って生き延びることのみ。

イエジー・スコリモフスキ監督の作品はいつも理解し難いものだけど、ギャロが率先して自分が演じつくりあげるべきだと応えただけあって、かなり印象深い作品となった。
厳然な大自然の中で主人公をもっと叙情的に描写することもできたはず。
とにかく野獣並に本能剥き出しで生きる事に徹している。


暴行され、言葉も通じない地で狙われて、助けてくれる人もいない。
自分の居場所もわからず、帰り方もわからないがとにかく故郷に帰りたい。
孤独感にも襲われる。


木肌や蟻、川で釣られた生魚、幻覚作用が起こる木の実を、通りかかった女性の乳房からミルクを…


人間同士の争い事なんて…と思わされるくらい、自然は厳しく、人としての尊厳を奪われてやっと気付くのか。



顔の表情や息遣い、肉体のみで演じるギャロの鬼気迫る演技は必見。
やっぱりギャロにはいかれたとか、孤独な役が似合う。
movie comments(0) -
<< | 2/11 | >>